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11/24/2007

「神功=神武=吾田媛」の同一性-書紀解論(十三)

 そろそろ『書紀』に戻ります。

◆『書紀』ダブレット仮説の要点
 まずは前回までのおさらいです。

『書紀』前半では、「同じ構造」が3度くり返されている。これは【神話M/上古伝L/改版史実R】として整理できる。この3部は明白なダブレット(重複異版)の関係にある。
この3つのダブレットは、全て一つの【原伝承P】をもとに構築されている。具体的には、
【R】←【P】の修正版で、政治的に不都合な部分は消されている。
【M】←【P】の文脈をシンボル化し、折々に古神話を挿入してある。
【L】←いくつかの古伝承に、【P】後半部の諸事件を接合してある。

 これについての詳細は、〈★解論・十二〉で提示した「表1」を見てください。
 ここで面白いことは、【R-M-L】のダブレット対応部を突き合わせることによって、【原伝承P】の復元ができることです。
 たとえば【Pd-ワカタラシヒコの出雲背命】は、【Md-天孫先遣の失敗】から復元でき、これは今編六~十で詳しく作業しました。

◆L内部にも複数のダブレットが!
 さて「表1」に提示したのは、あくまで大構造レベルでの一致です。他にも『書紀』の細部には、小さなダブレットがいくつもあります。
 ひとつ【L】内のダブレットを示しましょう。崇神紀にある【吾田媛&武埴安彦の叛乱】記事です。
 逆賊の叛乱…とされるこの事件は、よく構造を見るならば、なんと
【Re-神功&武内宿禰の畿内攻め】
【Le-神武の畿内攻め】
 と鮮やかに重なります。これも「表2」で一目瞭然! クリック拡大して見てください。

Graph02_2

◆トヨを憎む「畿内伝承」
 上の表を見てもらえれば、【Le2】の記事要素が、【Re】また【Le】とほぼ完璧に一致することがわかるでしょう。
「香具山の土を取って勝利祈願」という呪術行為は、【Le】では「神武がイツヒメにやらせた」と書かれてます。このイツヒメ伝承は意味の取れないものであるが、【Le2】では吾田媛(アタヒメ)が全く同じことをしている。
 そこでこの神武・吾田媛の呪術行為は、実際には、トヨ=神功のしたことだったと理解できます。
 それにしても【Le2】では、正邪の価値づけのみならず、勝敗さえも逆転している。攻め手二人は「逆賊」として殺されているのです(!)。
 この反転記事【Le2】は、おそらくは敗北した「畿内側の伝承」を取り込んだものでしょう。畿内側にしてみれば、トヨや武内宿禰は憎むべき「賊」であって、敗れて死ぬべきだったのです。

 このような畿内側の怨念は、後のトヨ・ホムダワケ政権にも、暗い翳りを落としたろうと思われます。

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