「古代史の全貌」一覧表-書紀解論(三十一)
これまで3回、『風土記』の諸国伝説に関連づけられた王名の「偏り」を、問題にしてきました。
もちろんそれらの伝説は、即「史実」ではないでしょう。しかしある特定期の王たち(前回の表12のⅡ期)に伝説リンクが集中するのは、彼らが特に「認知度」の高い存在だったことを意味している。
今回は、この問題を解くと同時に、「古代史の全貌」を輪郭づけてみるとしましょう。
◆伝説の中核Ⅱ期=【原伝承P】
じつは「伝説のⅡ期集中」の理由については、当シリーズのこれまでで、僕はすでに解答を出しています。
それがつまり、オオタラシヒコ(景行)・トヨ(神功)・ホムダワケ(応神)・オオサザキ(仁徳)らを主役とする口承叙事詩-【原伝承P】の存在です。
言い換えると、僕が『書紀』から読み取った【原伝承P】の存在を、『風土記』はまさに裏付けてくれるわけだ。
この【原伝承P】の内容また性格については、以下のページを参照してください。
★二十六-仁徳クーデターと【原伝承P】
★十二-『書紀』構造はこんなにも重複している
すなわち「Ⅱ期の王たち」とは、叙事詩によってくり返し語られ、人々によく知られた、悲劇の主役たちだということです。彼らはその認知度によって、諸国の伝説に関連づけられ、『風土記』にくり返し登場しているわけです。
◆「古代史」の全貌を総括する
では次に、〈★二十七-日本書紀の制作秘密〉で書いたことを、前回の表12と重ね合わせしてみましょう。すると古代史のⅠ~Ⅶ期が、表13のように整理できます。
Ⅰ期-【原伝承P】を重複利用した【上古伝L】。
Ⅱ期-【原伝承P】を書き換えた【改版史実R】。
*-百年の歴史空白。
Ⅲ期-中国史書「倭の五王」のハメ込み箇所。
Ⅳ期-「王名リスト」に歌謡・古神話らを合成。
Ⅴ期-蘇我政権下の「簡略な王記」+朝鮮史書からの取材。
Ⅵ期-孝徳のクーデター(乙巳の変)以降、「王朝記録」の整備。
Ⅶ期-天武のクーデター(壬申の乱)以降、『書紀』制作が始まった。
これも表13にまとめました。藤原不比等らが、どんな材料を、どのように操作して、「古代史」を組み立てたか、かなり明らかにできたのではないでしょうか?
あとまだ始末が残っているのは、『古事記』そしてヤマトタケル伝説です。次はこれに挑んでみます。
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