西洋暦の「2大祭周期」
西洋キリスト教文化には「斎>祭」のサイクルが2つあります。「斎」とは精進潔斎で、わかりやすく言えば物忌みです。
サイクルの一つは【降誕祭=クリスマス】を軸とする冬の祭期。もう一つは【復活祭=イースター】を軸とする春~初夏の祭期です。
以下、その二つを具体的に見てみましょう。
◆冬の祭期
【万聖節=ハロウィン】10/31。冬の始まり。霊たちがこの世へ侵入。
【待降節=アドヴェント】降誕祭より4週前の日曜日(11月末か12月頭ごろ)から物忌みに入り、これを待降節という。
【聖ルチアの祭日】12/13。昔の冬至祭の一つで、光の復活を祈念する。
【★降誕祭=クリスマス】12/25。カトリックでは「イエスの誕生日」という。実際には太古の〈冬至祭〉を置き換えたもの。
【十二夜】12/25~1/6まで特別な物忌み期。
【公現祭=エピファニー】1/6。東方教会では「イエスの誕生日」という。
【聖燭祭】2/3。最寒の頃、またも聖ルチア(光の女神)を象徴として、冬の終わりと光の復活を祝う。
見ての通り、これは【万聖節】での死霊の浸入から始まって、死者の復活する冬至祭=【降誕祭】をピークとし、【聖燭祭】で明けるものです。
◆春~初夏の祭期
【謝肉祭=カーニヴァル】肉断ち前の春祭り。
【灰の水曜日】復活祭の40日前。この日以降を【四旬節】として「肉断ち」の物忌みに入る。
【枝の主日=パーム・サンデー】復活祭前の日曜日。イエスのイェルサレム入城の記念日という。
【聖週間】いよいよ復活祭の直前。聖木曜・聖金曜・聖土曜などを祝う。
【★復活祭=イースター】詳しくは前回参照。3/22~4/25の間になる。もとはユダヤ【過越の祭=ペサハ】で、そのまたもとは古代の〈新春の満月祭〉。
【聖霊降臨祭=ペンテコステ】復活祭の50日後。もとはユダヤ【五旬祭=シャブオット】で、そのまたもとは古代農耕民の〈収穫祭〉。
こっちは春の【復活祭】をピークとする祭期です。
なお【聖燭祭】と【謝肉祭】は、もとはどちらも冬籠もりの明け祝いです。つまり起源は同一で、それが教会主宰(聖燭祭)と民間祭(謝肉祭)に分裂したものでしょう。
◆最古層には先史文化が
以上2つの祭期とも、その基層には、太古の元型が読み取れます。
冬の祭期は、先史北方民族が「冬籠もり」をした時期にあたってます。冬闇のなか先祖や捨て子らの霊が還ってくる…というのは、北ユーラシア~北米の先住民に普遍的な観念です。
たとえば【万聖節】は、北西欧のケルト族が起源とされるが、それと酷似の習慣が、なんと新大陸極北のエスキモーにもあるのです。それは【物乞い祭り】といって、男たちが霊に仮装して贈り物を乞うお祭りです。また西欧のサンタや東洋の歳神・福神には、「冬至に還ってくる祖霊神」という共通核が見て取れます。これらは先史北方の狩猟文化に由来するものでしょう。
いっぽう春の【復活祭】は、もとは中東太陰暦における「新春の満月祭」でした。これを核とする春~初夏の祭期は、植物霊=地母神=月神との関連が強いので、農耕文化の発生に由来を持つように思われます。
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